ある日突然、愛車のキーフリーシステムが反応しなくなった。ドアが開かない、エンジンがかからない。そんな時、多くの人は「車が壊れた!」とパニックに陥ってしまうかもしれません。しかし、そのトラブルの原因は、驚くほど単純なことである場合がほとんどです。キーフリーシステムの故障を疑う前に、まず真っ先に確認すべきこと。それは、スマートキー本体の「電池切れ」です。スマートキーは、車両と無線通信を行うための電力を、内蔵されている小さなボタン電池に頼っています。この電池が消耗すると、電波が弱くなったり、完全に止まってしまったりして、キーフリーシステムの全ての機能が使えなくなります。これは「故障」ではなく、単なる「エネルギー不足」です。電池切れが疑われる症状には、いくつかの段階があります。初期症状としては、「反応距離が短くなる」という現象が現れます。以前は少し離れていても反応したのに、最近はドアノブにかなり近づかないと反応しない、といった具合です。また、「反応する時としない時がある」という不安定な状態も、電池消耗のサインです。そして、電池が完全に切れると、リモコンのボタンを押しても、ドアノブに触れても、全く無反応になります。もし、このような症状に気づいたら、対処法は至ってシンプルです。「電池を交換する」ただそれだけです。ほとんどのスマートキーは、精密ドライバーなどの簡単な工具があれば、自分で電池交換が可能です。キーの側面にある溝などにドライバーを差し込んでこじ開け、内部のボタン電池を新しいものに入れ替えます。適合する電池の型番は、古い電池を見れば分かりますし、コンビニや家電量販店で数百円で購入できます。もし、手元に新しい電池がなく、緊急に車を動かす必要がある場合でも、多くの車には緊急時のための対処法が用意されています。スマートキーに内蔵されているメカニカルキーでドアを開け、電池の切れたキー本体をスタートボタンに直接接触させるようにしてボタンを押せば、エンジンを始動させることができます。キーフリーの不調は、まず電池を疑う。この鉄則を覚えておくだけで、無用な心配と、高額な修理費用を支払うリスクから、あなた自身を守ることができるのです。