ガレージや店舗で広く普及している電動シャッター。リモコン一つで重いシャッターを軽々と開閉できるその利便性は、一度味わうと手放せないものです。しかし、その電動シャッターが、リモコンを押しても反応しない、あるいは壁のキースイッチを回しても動かない、といったトラブルに見舞われた時、その鍵(施錠・開錠システム)の交換は、手動シャッターのように簡単にはいきません。結論から言うと、電動シャッターの鍵、つまりリモコンの受信機やキースイッチといった電気系統の交換は、専門的な知識のない素人が行うべきではありません。その理由は、主に「感電のリスク」と「専門知識の必要性」にあります。電動シャッターは、モーターを動かすために、家庭用の100V、あるいは業務用の200Vの電源に接続されています。電気の知識がないまま配線を触ることは、感電という、命に関わる重大な事故を引き起こす危険性が常に伴います。また、電動シャッターのシステムは、モーター、制御ボックス、受信機、リモコン送信機、キースイッチ、そして安全装置である光電センサーなどが、複雑な配線で連携して動作しています。どこに不具合の原因があるのかを特定するには、テスターなどを使って通電をチェックしたり、制御基板の知識が必要になったりします。例えば、リモコンが効かないという一つの症状でも、原因がリモコンの電池切れなのか、送信機の故障なのか、あるいは車両側の受信機の故障なのか、あるいはその間の配線の断線なのかを、素人が切り分けるのは極めて困難です。自己判断で部品を交換しても、原因が違えば全くの無駄骨になりますし、間違った配線をしてしまえば、モーターや制御ボックスといった、さらに高価な部品をショートさせてしまう可能性すらあります。電動シャッターの鍵(制御システム)の不具合は、迷わず、そのシャッターを設置したメーカーや、専門のシャッター施工業者、あるいは電気工事の知識を持つ鍵屋さんに相談するのが、最も安全で確実な道です。餅は餅屋、という言葉の通り、専門的な領域は、その道のプロに任せるのが賢明な判断と言えるでしょう。