非常に便利なキーフリーシステムですが、それは多くの電子部品で構成された精密なシステムであるがゆえに、いつかは故障する可能性があります。その際、どのような症状が現れるのか、そしてその原因がどこにあるのかをある程度見分けることができれば、冷静に対処し、無駄な修理費用を避けることにも繋がります。キーフリーシステムの故障が疑われる場合、その症状は大きく分けて「全く反応しない」「反応が鈍い・不安定」「特定の機能だけが使えない」の三つに分類できます。まず、「全く反応しない」ケース。ドアノブに触れても、リモコンボタンを押しても、うんともすんとも言わない状態です。この場合、最初に疑うべきはキー側の「電池切れ」です。スペアキーで試してみて、もしスペアキーが正常に作動するなら、原因は元のキーの電池切れか、キー本体の故障であると特定できます。次に、「反応が鈍い・不安定」なケース。キーをドアノブにかなり近づけないと反応しない、あるいは反応する時としない時がある、といった症状です。これも、キーの電池が消耗している初期症状であることが非常に多いです。電池の電圧が低下し、電波が弱くなっている状態です。早めに電池を交換することで、本格的な不具合に進むのを防げます。また、強い電波を発するテレビ塔の近くや、他の電子キーなどが干渉して、一時的に反応が鈍くなることもあります。最後に、「特定の機能だけが使えない」ケース。例えば、「ドアロックはできるが、エンジンの始動ができない」「エンジンはかかるが、ドアのボタンが反応しない」といった症状です。この場合は、キー本体ではなく、車両側の特定の部品(ドアノブのスイッチや、車内のアンテナ、スタートボタンなど)の故障が疑われます。このように、スペアキーで試す、電池を交換してみる、といった簡単な切り分け作業を行うことで、トラブルの原因がキー側にあるのか、それとも車両側にあるのかをある程度絞り込むことができます。その上でディーラーや修理工場に相談すれば、よりスムーズな診断と修理が期待できるでしょう。
キーフリー故障の主な症状と見分け方