スマートキーの電池を交換しても、スペアキーで試しても、キーフリーシステムが全く反応しない。こうなると、いよいよ原因はキー本体ではなく、「車両側」にある可能性が濃厚となります。車両側の故障は、個人での対処が難しく、専門的な診断と修理が必要になります。その原因と、気になる修理費用はどのくらいなのでしょうか。車両側の故障原因として、まず考えられるのが「各センサーやアンテナの不具合」です。キーフリーシステムは、車内外の各所に設置されたアンテナでスマートキーの電波を受信し、その位置を検知しています。ドアノブに内蔵されたリクエストスイッチ(ボタン)や、車内の受信アンテナなどが、経年劣化や接触不良、断線などで故障すると、キーを認識できなくなります。例えば、運転席のドアだけが反応しない、といった場合は、そのドアノブのセンサー故障が疑われます。これらのセンサーやアンテナの交換費用は、部品代と工賃を合わせて、一箇所あたり一万五千円から四万円程度が相場となります。次に、より深刻なのが、キーフリーシステム全体を制御している「コンピューター(ECU)の故障」です。これが故障すると、全てのキーフリー機能が停止してしまいます。コンピューターの修理や交換は、非常に高額になる傾向があり、十万円から、車種によっては三十万円以上かかることもあります。ただし、これは比較的稀なケースです。また、意外な原因として「バッテリー上がり」も挙げられます。車両本体のバッテリーの電圧が低下すると、キーフリーシステムを正常に作動させるための十分な電力が供給できず、反応が鈍くなったり、全く動かなくなったりします。もし、ヘッドライトが暗い、セルモーターの回りが弱いといった症状も同時に出ているなら、まずはバッテリーの状態を確認してみるべきです。これらの車両側の故障は、目視で原因を特定するのは困難です。ディーラーや専門の修理工場では、専用のコンピューター診断機を車両に接続し、どの部分にエラーコードが出ているかを特定します。正確な診断に基づき、必要な部品のみを交換するため、無駄な修理を防ぐことができます。キーフリーの不調が車両側にありそうだと感じたら、自己判断でいじくり回さず、速やかにプロの診断を仰ぐことが、最も確実で安全な解決策です。
キーフリーシステムの車両側故障、原因と修理費用